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黄疸の基本的知識
お腹の中の赤ちゃんはお母さんの中でも生きていけるように酸素が少なくても効率よく運べる赤血球を持っています。ただ、そのままだと外に出てからは酸素を取り込みすぎてしまうため、産まれて自分で呼吸をするようになると、もともとあった血液を壊して、外の酸素に合わせた赤血球に作り変えます。その時に壊れた血球が分解されたのがビリルビンです。このビリルビンが赤ちゃんの肌を黄色くし、その黄色い状態を黄疸といいます。このため、すべての赤ちゃんは黄疸になります。
血球が壊れるのはどの赤ちゃんもたどる工程ですが、この壊れ方には個人差があります。例えばお母さんとお父さんの血液型が違ったり、お母さんがO型の方がなりやすいなど、血液型だけでも症状の出方にばらつきがあります。それに加えて分娩時に吸引分娩で、頭にタンコブができた、へその緒を切るタイミング、産まれた時にかかった時間なども関係があると言われています。もちろん人種による差もかなりあります。日本人は比較的横断が出やすい人種です。また、母乳を飲んでいる子の方が長く続くとも言われています。
病院では赤ちゃんの皮膚の色を測る機械(ミノルタ計といいます)があり、それで数値の推移を見ています。これはスタンプのように赤ちゃんのおでこと胸のあたりを数回ピコっと押すだけなので、赤ちゃんが痛いことは何もありません。ビリルビンの値にはガイドラインがあり、このミノルタ値(赤ちゃんの皮膚の色の数値)を超えたら採血をして実際の血液の中のビリルビンの値をチェックしましょうと決まっています。赤ちゃんが生まれて何時間後なのかによっても数値がかわります。例えば同じビリルビン値2.3でも、0日目と3日目では意味合いが大きく変わります。一概にこの数値を超えたら…というわけではありません。血液のビリルビン値がガイドラインを変える数値だった場合は治療が必要になります。
- 哺乳量の確保
- 光を当てる
黄疸はとにかく壊れた血球をなくすことが第一です。なので1番大切なことは「いっぱい飲んで、おしっこうんちを出す!」
なのでしっかり飲ませることが大事ですがここで厄介なのが黄疸の症状である“傾眠傾向”。赤ちゃんはだるくて寝ちゃうんです。寝てるからおっぱい足りてるのかなと思いたいところですが、しんどくて寝ています。このため、しっかり起こしてでも授乳しないといけません。
ビリルビンは光を当てることで分解され排泄されやすくなります。速やかに症状を改善させるためには、哺乳は短時間で済ませ、それ以外の時間はしっかりと光を浴びてもらう必要があります。光線療法といって、保育器に入って上から光を当てることが主流ですが、数値がそこまで高くない場合は日光浴などで軽快する場合もあります。
私とぴよむしの実際
助産院で出産し、入院中でした。なんだか目が黄色い。助産師であるので黄疸の赤ちゃんは今までたくさん見てきてます。あ、黄疸ではじめたなぁぐらいで、それほど心配はしていませんでした。
体重減少率は2日目で7.6%、排泄回数もうんちが4回、おしっこが3回と少なかったです。まだあまり母乳も出ていないので、病院だとこの時点でミルク補足をすすめられると思います。私が働いている側でもすすめていると思います。ただ、私はなんとなく完全母乳への憧れがありました。「この子はミルク1滴も飲んでないのよー!」って笑 ミルクを足すと赤ちゃんはよく寝てしまうので頻回授乳ができません。分娩直後の哺乳回数がその後の母乳分泌量に大きく影響することを知っていたので、授乳回数が減ってしまうのがとても不安でした。
助産院だからまだミルクを足さずに様子をみてもらえると思っていたのですが、ミノルタ値は15.1と生後2日目にしては高く、「日光浴させるからミルク足すね!」と言われてあっという間にミルクを足されました。1回限りかと思いきや、そのあと2回、しっかり20ml足されました。こうして私の完母(一滴もミルクを飲んだことがない状態)の夢は泡のように消えました。
ショックを受けていることを察した助産院の先生は、「夜もとりあえず3時間おきにミルク持ってくるけどあげるかどうかは自分で考えたらいいわー。」といわれ、0時のミルクを持ってきてくれました。意地でもあげないと心に決めて0時のミルクをスルーしてあげ続けましたが、何回あげても母乳量は0g。ちっちゃい体でずっと泣き続ける我が子。それから3時間ぶっ通しで吸わせ続けましたが、泣き止みませんでした。3時のミルクが来た時は最初の決意も崩れ去り、すぐにミルクを与えました。ごくごく満足そうに飲む姿に安心しつつも、母乳が出ない自分が情けなくて声を上げて泣きました。母乳が出ないことがこんなに辛いなんて助産師で働いていた時は知りませんでした。
21日6時間日光浴したら2日目の朝→夕で15.1→10.1に低下。しかし3日目も朝の数値は13.2とやや高い状態でしたが、日光浴を家でもすることを条件に退院しました。(本当は4日目退院なのですが、家族のお迎えの都合上3日目で退院させてもらいました。)母乳は3日目の朝も0gでしたが、朝お灸をしてくれたらそのあとからどんどん張ってくる感じがありました。線も何本も開いていてそのうち1本からは射乳が出るようになっています。母乳が増えてくるだろうとの見込みから、ミルク補足は20Mlからふやさず、しかし3時間おきに必ずあげるように指導されました。
退院してから体重も30g/日のペースで増え、ミノルタ値も問題ないことが確認できました。また母乳量は左右5分ずつで47gに増え、ミルクなしで大丈夫とのお墨付きがもらえました💮
黄疸と母乳について悩むあなたへ
これを読んでいる人の中で母乳へのこだわりがあって、ミルク補足が嫌だと感じている人がいるかもしれません。すごく気持ちわかります。色々なことを勉強している人こそ、この悩みに突き当たるのではないかと思います。確かに赤ちゃんの体重減少が10%を超えても、あるいは治療基準をある程度上回っても全身状態に注意しながら母乳のみで経過を見てくれるところもあります。しかし、それによって退院日が伸びたり、お母さんがしんどい思いをすることも事実です。一時ミルクに頼って、赤ちゃんの症状を速やかに改善させ、自分も適宜休みながらおっぱいが増えることを待つ方が結果的に早くおっぱいが出るようになるかもしれません。私は助産院の先生が私の気持ちに気づきながらもミルクを足したことに今では感謝しているぐらいです。状況は人それぞれなので一概には言えませんが、ミルクに頼っちゃった…って落ち込んでる人がいたなら、大丈夫だよって伝えたいです。